在宅介護で知っておきたい消化器症状と対処法

介護に役立つ医療知識

在宅介護をしていると心配なのが体調を崩したときです。

緊急性があるのか様子観察でいいのかと判断を家族が担うことになります。

そんな不安に対して症状の詳細と対処法を知っているだけでも安心感につながるのではないかと思いまとめてみました。

よくみられる消化器症状

消化器とは口から肛門まである臓器で詳しく書くと以下のようになります。

口➡のど(咽頭)➡食道➡胃➡小腸(十二指腸・空腸・回腸)➡大腸(結腸・直腸)➡肛門

一番見られるものとして便秘や下痢などは在宅でもコントロールが必要な症状と言えます。

げっぷ

げっぷは食べ物や唾液などを飲みこんだ時に、一緒に飲み込まれた空気や胃の中で発生したガスが胃内にたまり逆流して吐き出されるものです。

意識障害のかたは口を開けていることも多く、空気の呑み込みが多くなる方もいます。

胃の中にげっぷがたまりすぎると、胃の内容物などが一緒に上がり誤嚥の危険性もあります。

対処法

排出しやすいように体位変換をする。

経管栄養をされている方などは注入後しばらくは身体を起こしたままにしておく。

上半身を動かせる方であれば、背中を軽く叩いて排出のサポートをする。

しゃっくり

横隔膜の筋肉が突然、不随意にけいれんし、声帯が閉じてしまい、音が出ることをいいます。

しゃっくりは横隔膜が刺激されたり、胃の上部の刺激や冷たいものなどを飲み込んだりした刺激で誘発されます。

対処法

しゃっくりを止める有効は手段ははっきりとしていません。

長期に続くしゃっくりはその裏に病気が隠れていることもありますので医師への相談が必要です。

相談の目安は2日以上続くしゃっくりです。

嘔気・嘔吐

嘔気(悪心)・嘔吐は延髄にある嘔吐中枢が刺激されることによって起こります。

嘔気は胃の内容物を吐き出したい不快感で、実際に吐き出されるのが嘔吐です。

原因は様々ありますが一般的な内容は省略しますが、意識障害のある人に起こる原因としては、体位変換によって眼振が起こることで悪心を引き起こすこともあります。

それ以外にも経管栄養を注入している場合などは注入した栄養剤が逆流して起こってくることがあります。

対処法

意識障害の方の場合、嘔吐すると誤嚥しそれが誤嚥性肺炎を起こしたり、気管へ流れ込むと窒息することもあるので(気管切開をしているひとは)吸引器をお持ちの方はすぐに吸引することで誤嚥の危険性を少なくすることができます。

嘔吐した場合はすぐに身体の向きを横にするか顔の向きを横にする。

意識障害の方の場合、自分で症状を伝えることができないので嘔吐が落ち着いたら熱がないか?呼吸が早くないか?お腹の張りがないか?などを観察しておいてください。

嘔吐後は口腔内の不快感を伴うため、自分でうがいをできる方には数回うがいをしてもらう。

意識障害の方の場合は、スポンジブラシで口腔内のケアを行ってください。

経管栄養をされている方は、必ず医師または看護師に連絡し注入をいつから再開するかの確認も必要になります。

下痢

下痢とは便の水分量が増して液状になることを言います。

原因は様々ですが、多く見られるのは食中毒であったり消化器(腸)の過剰な蠕動によるもので起こることもあります。

頻回の下痢症状は体力を消耗し倦怠感や症状が長引けば低栄養状態などを引き起こす原因にもなるので早期の対処が必要な症状とも言えます。

対処法

感染性のものであれば数日程度で収まる事がほとんどですが、下痢の状態が何日も続く・血液が混じるなどは明らかに異常なのですぐに医師などへの報告が必要です。

下痢が続くと体の水分や電解質の一部(ナトリウムやカリウムなど)も多く失われることがあるので補足する必要があります。

特に意識障害の方でけいれん発作を起こす方の場合、以前「意識障害について」で話した低ナトリウムによるけいれん発作の誘発にも関連するので注意が必要です。

できるだけ腹部を温めたり、消化の良いものを摂るなどしたりしてください。

経管栄養をされている方の場合は、栄養剤を少し温めたりすることで腸への刺激を少なくすることもできます。

便秘

便秘の定義は単に数日間でないというだけではなく、大きくは4つの原因に分類されます。

単に便が出ない等だけでなく、便がたまることで起こるガスの貯留によるお腹の張りや腹痛、食欲不振などもおもな症状です。

ひどい時には吐き気や嘔吐などを引き起こすこともあります。

特に高齢者や長期臥床の方の場合、腸の蠕動運動が弱くなることもあるので便秘を起こしやすい要因とも言えます。

対処法

自分で積極的に水分をとれない場合は、少量ずつをこまめに促す。

薬剤性のものであれば便を出しやすくする下剤や整腸剤などを話し合い検討する。

経管栄養をされている場合は、栄養剤だけでなくお茶やスポーツドリンクなどの注入を2~3回に分けて注入する。

経口摂取ができる方であれば、食物繊維を含む食材を摂る。

摘便(肛門付近の便を指で取り出す)などを書かれていることもありますがお勧めしません。肛門付近は血管が多く出血しやすく腫瘍があれば傷つけてしまうこともあります。看護師や医師に相談してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました