電解質と聞いてなんとなくイメージつくかと思いますがその大切さは知っていますか?
皆さんも聞いたことはあると思います。
ヒトの身体はそのほとんどが水分でできていて、体重の60%は体液(水分)になります。
この体液の60%のうち40%が細胞内液で残りの20%が細胞外液になります。ここを詳しく話すと生物学的な話になってきますので割愛しますが、それぞれの電解質の働きないよって身体の浸透圧が調整されているということです。
体液量は年齢・性別・体格によって変化します。女性の場合、水分を含む割合が少ない脂肪組織が多いため体液量は男性よりも少ないとされています。
高齢になると成人に比べてその比率は少ないとされています。
体液中の電解質とは?
体液中には水に溶ける<電解質>と水に溶けない<非電解質>があります。
私たちが普段よく耳にする電解質とは水に溶けるほうの分類になります。重要なのもこちらのほうになります。
電解質(水に溶ける)
ナトリウムイオン(Na⁺)、カリウムイオン(K⁺)、塩化物イオン(Cl⁺)➡《お医者さんが説明などで使う時はクロールと言っています》、それ以外にカルシウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸水素イオンがあります。
大塚製薬さんが電解質についてわかりやすく紹介されているのでそちらも是非見てださい。
非電解質(水に溶けない)
非電解質にはグルコース、尿素、クレアチニン、コレステロールがあります。
非電解質の特徴として、水溶液としたときに電気を通さない、水溶液は中性に近い液性を示すという2点になります。
電解質の異常
では、なんでこの電解質が大事なのか?それは電解質濃度はかなり厳密で瀬ない範囲で維持されていることからこれらが異常を起こすと身体にとって生命の危機をもたらすことがあるからです。
夏場によく聞く「熱中症」や「脱水」で亡くなるかとがいることをニュースで聞くことがありますよね?
これらは急激な電解質異常によって起こる事象です。
電解質は上記にあるように主に3つに分けて検査をされます。
その基準値は以下のようになります。(検査機関によって多少の差はあります)
ナトリウム・・・135~150mg/dl
カリウム・・・3.5~5.3mEq/dl
クロール・・・98~110mEq/dl
※上記2つが重要なので下線を引きました
脱水とナトリウムの異常
脱水には体の中の水分とナトリウムイオンの喪失の割合によって「高張性脱水」と「等張性脱水」そして「低調性脱水」3つに分けられます。
それぞれについて説明していきます。
高張性脱水
高張性脱水は水分欠乏性脱水ともいわれていて、文字通り水分不足で起こる脱水になります。Naよりも水分を多く喪失します。
高張性脱水の原因は水分の摂取不足や腎性の水の喪失・腎外性の水の喪失などがあります。
腎性とは腎臓自体に問題があって起こる糖尿病や慢性腎不全、尿崩症などで起こる水分不足です。
腎外性と発汗や下痢、出血、嘔吐などがあげられます。食欲不振や嚥下困難などでも水分量は低下することがあるので食事や摂取している水分量などは把握しておくことをお勧めします。
強い口渇があります。
意識障害の方の場合は自分で水分を要求することができないので食事(注入含め)と食事の間にひつような水分補給を行い季節によって体調によって補給量は調整してください。
等張性脱水
等張性脱水は水分とNaが同じくらい欠乏する脱水になります。
血漿浸透圧が変化しないため、口渇はおきにくくなります。
原因は出血や下痢などでおこります。
低張性脱水
低張性脱水は水分よりもNaが多く欠乏する脱水になります。
原因は腎性および腎外性のNaの喪失でおこります。ヒトのナトリウムの基準値は135~150mg/dlです。
この基準値が高すぎても低すぎても身体には大きなダメージがおこります。
高ナトリウム血症
文字通りナトリウム値が高いことによっておこります。かといって基準値の10以内であれば大きな問題がありませんがそれ以上になると以下のような症状が出てきます。
初期症状としてイライラや傾眠状態、興奮状態などですが、160を超えてくると重症症状としてけいれんや昏睡などを起こし場合によっては脳出血やくも膜下出血などを起こす場合もあります。
低ナトリウム血症
こちらも文字通りナトリウム値が低いことによっておこります。低ナトリウムの場合基準値以下(120程度)であってもその症状に気付きにくいことがあります。
特に意識障害の場合、普段から一点を見つめたり表情に変化がない事もありわかりにくいです。
初期症状も倦怠感や頭痛、嘔気・嘔吐などであるためほかの病気との判別が難しいです。重症化すると脱力・傾眠・けいれん・意識障害・むくみ・頻脈などの症状が出てきます。
普段から軽度のけいれん発作が出ていたとしてもその回数が多くなったり、時間が長くなるようなときは必ず何らかの異常があります。
ナトリウム値が低すぎると家庭での補正は困難になり入院して医師の監視下の元で細かく補正処置を行う場合もあります。
カリウムの異常
カリウムは、細胞、神経、筋肉が正常に機能するのに必要な物質です。
心臓をはじめとした全身の筋肉が働く際に重要な役割を果たしています。
このカリウムの異常も重症化すれば大きな問題になります。
高カリウム血症
高カリウム血症の主な原因は腎臓の病気によるものが多いことがほとんどです。それ以外にも薬剤によるものなどもあるため腎機能を悪化させないことが大切です。
初期段階での主な症状は脱力感やしびれ・感覚障害などがありますが症状が強くなるにつれ吐き気や嘔吐などが現れます。
そして最も怖いのが致死的不整脈(心室細動)で突然死の原因にもなります。
これは突然起こる事なので対処はかなり難しいです。なので初期の段階で早期発見し治療や食事療法などを行う必要があります。
低カリウム血症
低カリウム血症の主な原因としては甲状腺機能亢進症や下痢・嘔吐それ以外には拒食症や偏った食生活などが理由でおこります。
ほとんどの症状は高カリウム血症と類似しています。少し違う点でいえば多飲・多尿などです。
低カリウム血症でも同じように致死的不整脈を引き起こすためこちらも初期の段階で対処する必要があります。
まとめ
どうでしたか?電解質のバランスが大切なのは伝わったでしょうか?
在宅介護をしていると介護していて「なんか変だな・・・」と思うことも多くあると思います。
そんな時は様子を見るよりは積極的に医師や看護師へ相談してください。
電解質に変化を正しく知るにはどうしても採血が必要です。ほとんどの訪問医師はだいたい3ケ月~6ケ月に1回は身体状況を確認するために検査をしてくれますが、普段と違う状態が続くようであれば採血の依頼をすることも検討してください。
医師へ依頼しにくい場合は、訪問看護師さんへ声をかけてください。
むやみに水分のみを補給することが正しい判断でない場合もあります。夏場だけが脱水になるということではないので普段の状態を見ておく必要があります。
参考文献 照林社 症状別看護過程
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